『悪人』 李相日監督

  • 2011/04/12(火) 23:15:00

 

 

加害者と被害者。

双方から複数の視線で追った群像劇の中から本当の”悪”とは何かを考えさせていく。

というわけでテーマも手法も特別に新しいことをやっているわけでは無い。

でも積み重なっていく一つ一つのエピソードが秀逸で、地方都市に住む人々の心情が、見事に切り取られた九州の街並みと風景と共にリアルに伝わってくる。


そして、一人娘を持つ親としては、加害者側の二人の逃避行よりもどうしても被害者側の柄本明の方に興味がいってしまう。

なぜ娘があんなところで車から蹴落とされなければいけなかったのか?
それほど自分の娘はひどい人間だったのだろうかと?

多分、映画のように苦悩し憎悪するだろう。


でも、この映画が素晴らしいのは報復ではなくじっと耐える(耐えた)ことでしか生まれないカタルシスが有るからだ。

心を揺さぶって離さない。


目には目を!

の教えの世界では決して生まれてこない。
『グラン・トリノ』での自己犠牲ともまた違う。

仏教の国に生まれて良かった。(笑)



それにしても深津絵里。

30女の寂しさと情念を滲ませてこんなに上手い女優さんだったのかと。
首を絞められて覗かせた恍惚ともいえる表情にはぞっとする迫力があった。
深津絵里の存在で二人の逃避行がより切実なものとなった。


しかし圧巻は樹木希林。

この人に敵う俳優さんは日本にはいないんじゃないかと思わせる。
さすがと言うしかない。


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え〜っと、妻夫木君?

何をやってもそつなくこなしてしまう
もちろんいつもの妻夫木君でした。

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