『ヒポクラテスたち』 大森一樹監督

  • 2010/11/11(木) 22:45:00





 
あー、なんて懐かしい。

’70年代の残り香がプンプンと漂っている。



映画はモラトリアムな日々を送る医大生たちの青春グラフィティ。

物語は医療や堕胎など決して軽くは無いテーマを交えて淡々と進んでいく。
でもそれぞれのエピソードにリアリティがあるのは、監督自身の経験によるものだからなんだろう。

思っていたよりも悪くは無かった。

というよりもずっと面白かった。


但し、ラストの10分を除いて。(苦笑)

青春の挫折・絶望や喪失を描いているのだが、これが昔の邦画にはよくありがちな説明過多でいかにも観念的。

ここがもっとスッキリとしていたら最後の主人公たちのその後のテロップにももっとジーンと来ていただろう。

ランちゃんの笑顔にも。


ちょっともったいなかった。



ただ大森一樹がこの作品の後で村上春樹の『風の歌を聞け』をなんで映画化したのかが分かったような気がした。
村上春樹の初期作品の主人公”僕”と『ヒポ〜』の主人公たちの抱える絶望や喪失は同種類のものだったからだ。

でもその『風の歌を聴け』にしても未だに観ていない。

だって原作の持つあの空気感をうまく映像化なんかできっこない。
この『ヒポ〜』を観てこの想いはますます強固なものになってしまった。(笑)


この頃の大森一樹監督は期待の新星だったと記憶している。
私もそれまでの邦画の枠を超えた映画を撮ってくれるのではとかなり期待をしていたのだけど、いつのまにか只の職人監督になってしまった。


これもちょっと残念だったな。

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