谷口ジロー 『センセイの鞄』

  • 2010/10/28(木) 23:30:00

2010.10.9





【出版社紹介】
日本文学界の至宝・川上弘美と日本漫画界の巨匠・谷口ジローのかつてない幸福な出会い! 谷崎潤一郎賞受賞の名作を完全漫画化。「遠いようなできごとだ。センセイと過ごした日々は、あわあわと、そして色濃く、流れた。」(原文より)酒と肴とやさしさと恋情に包まれたセンセイとツキコさんの日々が、細密にそして温かく描かれます。『THE BEST MANGA 2010 このマンガを読め!』第10位!

とある居酒屋で、三十七歳のツキコさんは、ビールの肴にと、まぐろ納豆、蓮根のきんぴら、塩らっきょうなどを頼む。すると隣りでも同じように注文する老人が……。さても肴の趣味の合うご老体だと感心していると、その人は高校時代の恩師だと知る。この再会をきっかけに二人は、やがてゆるやかでおだやかで切なくてはかない二人へと深まってゆく……。



なるほど。

こういうお話だったのかと。

谷口ジローさんにしては珍しく色っぽいお話だった。

色っぽいとはいってもそこは谷口ジローさん。

節度ある大人の恋を上品にそして丁寧に描いている。


センセイとツキコさんが少しずつ惹かれあい本当に少しずつ親密になっていく様子がやはり素晴らしい。

この行間を読ませるような描写はもはや円熟の境地だ。


この細やかな描写の数々がじんわりと後になって効いてくる。

おかげで自分もいつのまにか当事者のような気になって切なくなって困ってしまうのだ。(笑)





”ワタクシはいったいあとどれくらい生きられるでしょう?

”ずっとでなければツキコさんは満足しませんでしょうか?


終盤のセンセイからもれる言葉が胸を打つ。

そしてようやく一つになれた幸福感とその直後に訪れる暗転と静謐感。



ちょっとズルイよなぁ〜・・・・・


と思いながらもこの見事なコントラストにはやられてしまう。

どうしたって泣けてしまうじゃないか!




でもね、70歳を過ぎてこんな恋をしちゃって。

あげくにツキコさんまで泣かしちゃって。


センセイが羨ましい。(苦笑)

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