こうの史代 『夕凪の街 桜の国』

  • 2007/08/06(月) 23:58:24



発売当初から興味はあったものの『ヒロシマ』という重い題材を扱っていることへの尻込み。
また表紙を見ても失礼ながらこんな絵でホントに評判通りの内容なのだろうかと半信半疑でなかなか手を出すことは無かった。
でも古書店で見かけてこの値段なら外しても後悔はしないと2ヶ月ほど前にようやく読んでみた。

物語は終戦から10年たった昭和30年から始まります。
被爆者の主人公『皆実』とその家族を中心に声高に反戦を訴えることなく、被爆の直接的な表現も最小限に抑えて淡々とそしてユーモアさえも交えながら物語は進みます。
途中、『このお話しはまだ終りません。』というメッセージが胸を打ちます。
『夕凪の街』と『桜の国』を結びそしてこの作品を読む私達へとつなぐシンプルで重いメッセージです。
確かに終ってない。仕方の無いことでは済まされない。。。

最初心配していた絵柄の件も杞憂に終りました。
この柔らかで優しい絵柄こそが、『皆実の切実さ』『京ちゃんの愛おしさ』をより一層際立たせています。
実際にこんな人達が沢山いたのであろう。
恥ずかしいですが涙がにじんできました。

そして本の巻頭に『広島のある日本のあるこの世界を愛する全ての人へ』とあります。
本当に今に生きる全ての人に読んで欲しいと思わせる作品でした。

もちろん、うちの小娘にも読ませてみました。(笑)
感想を特に聞くことはなかったですが、無言で返しに来たときの目が少し赤くなっていたので何かを感じていたようです。

この物語がより多くの人へ届きますように。

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