是枝裕和監督 『歩いても 歩いても』

  • 2009/01/26(月) 23:50:00




家族のある一日をただ淡々と追っているだけなのに、なんでこんなに面白いんでしょう?


映画の冒頭で樹木希林さん扮する母親が久し振りに帰省してきた子供・孫達のために心づくしのご馳走を準備するシーン。
手際良く料理を作っていく美しさと、その姿のあまりの自然さにあっという間に引き込まれてしまった。

その姿は年に数回帰省する実家の母親とまるっきりおんなじでした。
あんな感じで台所に立って私たちに背を向けていつも何かを作っていてくれる。
それは私の母親もカミサンの母親も変らない。
いつも当たり前のように見かける自然な姿でした。

自然と云えばこれだけ一つの一つのセリフがわざとらしくなく自然に聴こえる映画も初めてです。
夫婦、親、子供。
家族の中にしか存在しない様々な感情を的確に描いているからなんでしょうね。

だから出演している役者達さんがいつもよりも1.2〜1.5倍増しで上手く見えた。(笑)
YOUはもう当たり前の様に上手かったけど。
でも特筆すべきはやっぱり樹木希林さん。
母親の優しさ、怖さ、妻としての憤りとプライド。
全く自然に演じてました。
圧巻の一言です。


そして母親への孝行は間に合ったんだろうか?
と思わずにいられないラストの1ショットが、またほろ苦い余韻を残してくれました。

かつての子供もいつしか親になっていつかは自分も消え去っていくんだけども、自分の子供もまた親となり新たな家族を作っていく。
愛情や打算や後悔やわだかまりとともに。

こんな当たり前のことをチクチクする痛みだけでなく、仄かな光りとともにしみじみと味あせてくれた是枝監督には脱帽です。
さすが西川美和監督の師匠ですね。(笑)

いつまでも心に残っていくと思います。
本当に素晴らしい。

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しかしなんだって息子は一番似たくないと思っている人間(父親)に似てくるんでしょうね?(苦笑)

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