近藤史恵 『サクリファイス』

  • 2007/11/22(木) 23:10:43

2007/11/22(水) 読了



第1章の冒頭の3行は、(自転車の)ロードバイクに乗ったことのある人間であれば、
そう、そう!その感覚!!と思わず嬉しくなってしまうような文章だった。
これは絶対に面白くなるに違いないと期待を持って読み始めた。

なんだけど。。。
本の帯には絶対に損はしませんとあったけど、確かに損はしなかったけど得した感じもしなかった。
ある青年の成長を、自転車のロードレ−スに興味が無い人から見たら理不尽にも感じるだろう『エース』『アシスト』『チーム』の役割を、うまく紹介しながらミステリーを絡ませてよく読ませてくれたとは思うけど。


先ずエンターティメントとしては、主人公あるいは?のサクリファイス(犠牲)振りを伝える為の手段としてロードレ−スが選ばれているだけのような感じで、手に汗握るようなレースシーンは皆無。
かなり拍子抜け。
冒頭の文章であれだけロードバイクの感覚を見事に表現出来ていただけにもったいない。
もっともっと迫力のあるレースシーンを読みたかった。

青春ミステリーとしてもどうにも全体が釈然としない。
ちょっとキレイ事に過ぎるんだよね。
ワタシみたいな半分擦り切れたオジサンには。(苦笑)
この辺が上手な作家だとキレイ事ではなく眩しく感じるんだけど。

これは場外ホームランになるかも?
と期待していたらライト前のシングルヒットで終ってしまったという所でしょうか。
ま、ホントに損はしなかったけどね。

同じような題材を扱った小説に斎藤純氏の『銀輪の覇者』があったけど、こちらの方が自転車レース物としてもミステリー物としても数段上手だったな。
小説のテーマとして目指したものが違うので一概には言えないけど、自転車レースものとしては今の所の決定打ですね。
最近文庫版が出たようだけどラストを全面書き換えているということだから、やっぱり読んで見ようかな。
でも時間が無いからラストだけ。(苦笑)

【蛇足】
スポーツ小説としては、海老沢泰久氏の『監督』が忘れられない。
プロ野球ってカッコ良い!って勘違いしちゃったもの。(苦笑)

それとこれも古い小説だけどラッセル・ブラッドン氏の『ウィンブルドン』。
これは正真正銘テニス小説の傑作だった!
その昔吉田秋生さんが自分のマンガで見事にパクってたほど。
でもあのマンガ、よくどこからもクレームがつかなかったもんだ。(笑)

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