村上春樹 『ノルウェイの森』

  • 2007/11/21(水) 22:37:10

村上春樹氏はデビュー作の『風の歌を聴け』からのファンで、それまでの日本の小説には無かったクールで乾いた文体が大好きだった。
べたつかないセンチメンタリズムも。
まぁ文体そのものは欧米の翻訳小説そのまんまっていう言い方も出来たけど。(笑)

意欲作だった『ハードボイルドワンダーランド』から暫く経って、そろそろ新作が出ないかなと思っていたある秋の朝、『100%の恋愛小説』というコピーが新聞広告に乗っていた。
いったい『100%の恋愛小説』ってどんな物語だろうと、この『ノルウェイの森』を売り切れないうちにとその日のうちに買って帰ったものだった。
読んだのはその週末の土日だったけど。

読み始めて最初の序章で完全に引き込まれてしまった。
昔大好きだった女の子への想いを完璧に代弁してくれているようで、探し物をやっと見つけたような感じだった。
そしてこの序章だけを何回か読み返した。
それから、ちょっと息をついてから続きを読み始めた。

確かにこの小説は『100%の恋愛小説』でした。
でも自分の想像とはかなり違う重くて残酷な物語だった。
登場人物はそれぞれが何かを失い心に痛みを抱えた哀しい人達ばかり。
ラストの主人公のSOSは痛烈に胸を抉りました。
読後は余韻に浸るというよりは、主人公と同じように深い喪失感みたいなものに包まれていたような気がします。
何故か読み終えた後でベッドから見上げた秋の空が記憶に焼き付いてます。
ホントに切なくなるような見事な青空だった。

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あれからもう20年も経ってしまった。
今再読しようかしまいか迷っているところ。
当時と同じように胸を詰まらせてしまうんだろうか?
それとも色褪せて感じてしまうことになるんだろうか?

後者だったらちょっと寂しいしショックでもあるけれどその可能性も充分だな。
自分も随分擦り切れてしまったもんなぁ。
でも後者だったとしても多分あんまり悲しくないんだろうけど。
そっちの方が悲しい。。。(苦笑)

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