フィッシュマンズ 『空中キャンプ』

  • 2007/10/31(水) 22:40:37



心情的にはフィッシュマンズがまだまだ無邪気だった『Neo Yankees’Holiday』や 、『ORANGE』なんかの方が好きなんだけど、この『空中キャンプ』には抗いようのない魅力を感じます。

基本はシンプルなレゲエ/ダブ基調の楽曲で構成されています。
だけどサウンド・プロダクションがすごい。
楽器やSEの一つ一つの音像がクッキリと立っていて
音場全体も奥行きが深くてしかもクリーン。
全体がキラキラと光っているかのようの感じ。
そんなサウンドに乗せて佐藤伸治のタイトル通りに空中に浮遊するかのようなボーカルが流れてくる。

このアルバムを聴いていたのは’96年の4月頃だったんだけど春先の何となくふわふわと浮ついたような季節感にとてもあっていた。
クールなんだけど甘く切なくそして心地良かった。
特に『ナイトクルージング』。
歌詞自体は大した意味を持っていないのに、なんでこんなに胸を切なくさせるんだろう?
ホントに抗いようの無い魅力を持った歌。
そしてアルバムです。

歌詞はサビに英語が使われたりしていて本来はこういうスタイルは好きでは無いんだけど、フィッシュマンズについては聴いているとそんなことは瑣末なことに思えてきて 、このアルバムに収められた『幸せ者』の歌詞ではないけれど別にどうでもよくなってくる。
実際歌詞自体には大した意味を込めていないようだったし。
ボーカルだとか歌詞だとかギターの響きがどうのこうのというよりも楽曲全体の雰囲気がとても良かったんだろう。
これはトーキョー?1ソウル・セットなんかにも通じるところだけど。

でもこの後のフィッシュマンズはますますサウンド志向が強くなって 、確かにスゴイことはスゴイんだけど自分には聞いているのが辛い音楽となってしまった。
なんていうか『あちら側』の世界に行ってしまったというか。。。

この『空中キャンプ』は、『こちら側』から『あちら側』への一歩を踏み始めた、けれどまだ完全には『あちら側』へ行ききっていない。
そんなフィッシュマンズの一瞬の姿を捉えた傑作アルバムだったのではないかと思います。 
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佐藤伸治氏が亡くなってからもう8年が経ってしまった。
月日が過ぎ去っていくのはホントに早いものです。
そして先月はこのバンドに縁のあるHONZI氏も亡くなられたとのこと。
お二人には改めましてご冥福をお祈り致します。

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