J・D・サウザー 『ユア・オンリー・ロンリー』 Blu-Spec盤

  • 2010/10/20(水) 22:45:00




このアルバムが発売された頃はアメリカではちょっとしたオールディーズ・ブームだったように思う。


冒頭の”ユア・オンリー・ロンリー”はそんなブームを象徴するようなタイトル・ナンバーだ。

この懐かしさが漂うロッカ・バラッドにはJ・D・サウザーの甘く悲しげなハイ・トーン・ヴォイスは良く似合う。


但し、このオールディーズ風味にはあざとさを感じて触手が伸びなかった。
ちょっとした嫌悪感すら感じていた。
だからアルバムを手に入れたのも発売から数ヶ月が経った後だった。

その当時大好きだったイーグルス。
イーグルスの一派の人が作ったアルバムということで手に入れたのかもしれない。
ただその肝心のイーグルスも同じ頃に発売された”ロング・ラン”が、今二つくらいの出来だったのでこのアルバムにも大した期待はしていなかった。


それが手に入れて何回か聴いているといかにもなオールディーズ風味の嫌らしさはあんまり気にならなくなってきて、シンプルにロッカ・バラッドの名曲だと感じるようになってきた。

続く”フ・ユー・ドント・ウォント・マイ・ラヴ ”も心が浮き立ってくるような軽快なナンバーだし、他にも”ラスト・イン・ラヴ ”や”ホワイト・リズム&ブルース ”なんかのハートブレイク・ナンバーはこの人の真骨頂とも言える切なくしっとりとしたナンバーでうっとりと聴き惚れてしまうのだ。


ただアルバム全体を通すと特に超名盤というわけではなかった。

この人にしてはハードなロックン・ロール・ナンバーが並んだレコードB面は、あんまり好きではなかったので前述したミディアム/スロー・ナンバーが揃ったA面ばかりを聴いていた。


当時 ----- ’79年の秋。
自分がこれまでで一番落ち込んでいた時期だった。(苦笑)

確かに超名盤というわけではなかった。

けれどしみじみとした味わいを持っていて沈みこんでいきそうな気持ちをひと時救ってくれたアルバムだったのだ。

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その年の12月。

ようやく自動車免許を取得して免許センターから仕事場のスタンドに向かうバスの中でこのアルバムを聴いていた。

ちょうどその年最初の霙模様になった日だった。

バスの窓からボンヤリと流れていく景色を眺めていたのだが、その時の灰色の寒々とした風景が何故かずっと記憶に残っている。