石井隆 『天使のはらわた』

  • 2010/03/30(火) 23:00:00

2010.3.21

名美と村木の堕ちていくこれでもか!

というくらいの濃密なメロ・ドラマをずっと読んでみたかった。





石井隆の存在を初めて意識したのは確か’80年前後のことだったと思う。

でも自分の中ではエロ漫画のニュー・ウェイヴという認識で特に買い集めてまで読みたいという作家では無かった。


それが10年ほど前だったろうか。

ビデオで『ヌードの夜』と『ラブ・ホテル』を観て遅ればせながらやられてしまったのだ。
名美と村木のメロ・ドラマに。

映画でこれだけやられてしまうのだから原作はもっと凄いのではないか?

と思ってその後短編集を何冊か読んでみたけれど短編であるが故のボリューム的なものなのか満足するには至らなかったのだ。
去年読んだ『黒の天使』も
コンセプト的に名美と村木の物語では無かったし・・・・・・


やっと納得価格で(苦笑)手に入れたこの『天使のはらわた』。
石井隆の代表作だしこれでダメならもう諦めようと思って読み始めた。


これが相当に重くて暗いのだ。
’70年代のいかにも昭和といった空気感が漂っていた。
やっぱり名美と村木(男の名前はここでは川島だけど)は昭和がよく似合う。

実に良い雰囲気だ♪


だけど狂おしさが足りない。
みぞおちが抉られるような切なさがもっと欲しかった。



でもこれは石井隆の漫画家としての限界だったんだろうと思う。
石井隆独特のタッチや彼の描く女性達はとても魅力的だ。
でも自分の思いのたけを描ききれるほどのテクニックやスキルを併せ持つまでにはいかなかったようだ。

だから彼が漫画から映画の世界に移ったのは必然的なことだったんだと思うし歓迎すべきことだったんだとも思う。

おかげで『ヌードの夜』や『ラブ・ホテル』を観ることが出来たんだから。

でも、だからこそ。


この2本を超える映画を作って欲しい。


と切に願うのだ。