黒鉄ヒロシ 『新撰組』

  • 2010/02/16(火) 23:55:00

2010.2.11




出版社/著者からの内容紹介
新選組発足から終焉までの集団人間劇をシュールにコミカルに描く超大作。第43回文藝春秋漫画賞受賞作。
現代に遺る幕末期の古写真や肖像画を繋ぎ合わせ、かつての景色と体臭を見事に蘇らせる「黒金歴画」。本書はその第一作目にあたる。
近藤勇、土方歳三らが、尽忠報国の志を胸に結成した新選組。その集団人間劇を、シュールにコミカルに捉えながら、当時の風景を描いていく。構成は新選組最大の事件「池田屋騒動」に始まり「箱館戦争」まで、主だった事件を一つの章とし、全45編に分かれる。史料を渉猟し綿密な検証に基づく物語は、決してヒーローを作ることなく距離を置いた接し方で進行し、ユーモラスな漫画表現に潜む真実が、時には乾いて時には重みを増して伝わってくる。歴史認識の新しい手段がこの歴画という言葉で表現されているのである。



私は新撰組は嫌いなのだ。
というよりも近藤勇と土方歳三の二人が大っ嫌いなのだ。

ただただ武士に成りたかった上昇志向の強い近藤と土方に組織された新撰組。
最初の志はどうあれ途中からは欲と嫉妬と保身にまみれただの殺人集団に成り果てた。
しかもそこにはあの幕末の時代にあっても思想とは無縁にただ自分達にとって邪魔な人間を抹殺するだけなのだ。

だから彼らには何のシンパも感じない。
しいていえばもののあわれを感じるだけだ。


だったらなんでこんなのを読むのかというと、先日の『坂本龍馬』を含めて3冊セットだったのだ。
せっかくお金を出して買ったのだから嫌いでも読むのだ。
もったいない!(苦笑)


ところがこれが思いの外面白かった。
『坂本龍馬』よりも面白かったのだ。


黒鉄ヒロシが描いたこの”新撰組”は何年か前の大河ドラマのように美化するようなことはしない。(あれは最低だった!)
近藤と土方の行ったことをドライにそしてブラックなユーモアを交えて描いていくだけだ。
欲と嫉妬と保身にまみれた二人と彼らと運命をともにした者たち。

するとそこには思想が無いからこその人間くさい哀しみが鮮明に浮かび上がってくるのだ。
この哀しみが妙に切ないのだ。

私だって欲もあれば嫉妬もしてしまう何の取り得もない弱い人間だ。(笑)
だからこの切なさが身に沁みるのだ。

このコミック。
というよりも黒鉄ヒロシさん言うところの”歴画”か。

青春の敗れざる者たちたちを描いたものとして傑作ではないだろうか。