横山秀夫 『クライマーズ・ハイ』

  • 2008/08/11(月) 22:40:00

2008.08.07

横山秀夫 『クライマーズ・ハイ』





読んでいて久しぶりにワクワクするような興奮を覚えました。

実はこの小説、数年前に最初の数十ページで読むのを断念したことがありました。
面白く無かった訳ではなく、タイミングが悪くて小説を読みたいというモチベーションが上がらない時だった。
それが去年、NHKでドラマ化されたものがかなり面白かったのでやっぱりいつか読まなきゃと。


小説はドラマでは伝えきれなかった部分。
主人公悠木や他新聞記者達の心の葛藤がよりリアル伝わってきてドラマよりも数段面白かった。
全く40代も後半だと言うのに’不惑’というには程遠い自分には実に共感を持って読めました。

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ただね。。。

単純に良かった、面白かった、感動した!
って能天気に言っていて良いもんなんだろうか。

『震度0』での阪神大震災もそうだったけど、
日航機事故を背景に使う必要って全く無いです。


例えば事故原因のスクープを断念するくだり。
ドラマでも違和感を感じたんだけど、その違和感が解消されることは無かった。
スクープを断念した原因 〜 ’事故の大きさ’に対して不確定なものを伝えられない。’
この奇麗事もさることながら、
結局はその事故の大きさに見合うものとして日航機事故を’利用’しただけじゃないかと。。
そして新聞記者達の葛藤とぶつかり合いにより迫力と臨場感を与えるための道具でしか無い。

ホントに良いの?
こんな’安い’感動をものにする為に日航機事故を利用しちゃっても。

ということで素直に面白かったと言いたくない自分がいます。
ひねくれ者でスイマセン。

この作品、完全フィクションだったら全面的に支持します。

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日航機事故のあった’85年。
今の会社に転職して新潟に戻ってきた年なんで自分にとっても思い出深い年です。
事故の有った8月というと職場にはようやく慣れてきたとはいえ、仕事を覚えるのにまだまだ必死で余裕なんて無かった頃でした。

そんなんで事故直後は生存者がいたことの驚きとその救出劇には感動したけれど、どこかの遠い処で起きた所詮は他人ごとという冷めた感じもありました。
でもしばらく経ってフライディだかフォーカスの写真を見て事故の凄まじさにショックを受けてしまった。
そして亡くなられた方達の機上で書いた殴り書きの遺書の重さに改めて感じ入ったものでした。

やっぱり忘れちゃならない。
風化させてはいけない類のことだと思います。


でも、こんなものに決して利用しちゃいけない。