吉田秋生 『カリフォルニア物語』

  • 2008/07/01(火) 23:10:00

物語はなかなかカリフォルニアが出てこない皮肉な『カリフォルニア物語』。
ニューヨークを舞台に、どこかにひりひりするような痛みを抱えて生きる者たちの人間模様。
ヒース、イーヴ、インディアン、リロイ、ブッチ、アレックス、スウェナ、スージー。。。。




久し振りに読み返してみると(20年振り!)
作者の描きたいものに対して技術が追い付いていない部分が目につきます。
気負いばかりが先にたってというか。
特に前半部分なんかは後半と見比べてみると同じ人が書いた画なの?ってくらいの未熟さ。

でも主人公のヒースやイーヴの青い苛立ちや戸惑いと付き合っているうちに、そんなことはどうでもよくなってくる。
それらの未熟な部分もひっくるめて全てがいとおしい。(苦笑)
というのもこの作品には青春期の普遍的ななんとも甘酸っぱい匂いと痛みが充満しているからです。
今となってはちょっと気恥ずかしくなるような。

吉田秋生さんのものでは出来からすれば『川よりも長くゆるやかに』の方が、ずっと完成されているしもちろん大好きなんだけど。

でも、彼女の全ての想いがぶち込まれたかのようなこの『カルフォルニア物語』。
どこかいびつで不細工であっても惹かれてしまいます。
’カリフォルニア’という言葉の響きも含めて若い頃のどうしようもない憧れのようなものの全てが、この作品には詰まっているからなんでしょうね。(ちょっと恥ず)

それにしても、これが当時20代前半の小娘(失礼!)が書き上げた作品だなんて。
全く大したものだと思います。

青春期の喪失と再生の物語としては、村上春樹さんの『ノルウェイの森』と並んで大好きな作品です。

  ・
  ・
  ・

主人公のヒース。
今頃はちょうど50歳くらい?
いったいどこでどんなオヤジになっているやら。。。